光り輝く向こう側

"何か"に惹かれて、憧れて。その光の向こうへ。

風の便り ~文学少女~

ある日、9人の少女と出会った。


どうやらその彼女たちは 「スクールアイドル」 というのをやっているらしい。初めて作ったと思われるPVを偶然にも見つけて、気付けばそれを眺めていた。


少し興味を持ち始め、どんな子たちなんだろう。どんなグループなんだろう。と、もっと知りたいなと思っていたとき、それぞれのメンバーが自己紹介をする機会があった。


それぞれのメンバーが自己紹介をしていく中、ある一人の子が言った言葉が、メンバー全員の自己紹介が終わっても、しばらく頭からずっと離れなかった。


「 これを聴いてくれてる人もどうかどうか、これからマルのことはあんまり気にせず、他にカワイイ子がいっぱいいるから、どうぞそっちを見て楽しんでな 」


また、別のときの自己紹介でも


「 マルのことはいいから、他のメンバーを応援してあげてほしいな 」


普通なら他の子より自分のことを見てほしいはずなのに...


それ以来、彼女のことが気になって他の子より見るようになっていった。






そしてある日、彼女たちの物語の始まりを迎えた。


そのお話の中で今まで知らなかった彼女のことや過去、想いを知った。



運動があまり得意ではないこと。


一人で図書室に行って本を読みながら過ごしていたこと。


友達のためなら真っ先に手助けしてあげる優しさを持っていること。


やってみたいけど自分には出来そうにないと自信がなかったり、踏み出せずにいたりしたこと。


以外とこう見えて機械系や最新のものに疎いこと。



自己紹介で言っていたことが、このときになってようやく、なんとなくわかったような気がした。


そんな彼女の姿はほんの少し私自身と重なって見えた。


一人で学校の時間を過ごしていた時期があったし、家族以外は誰とも話さずに一日を終える日もあった。それでも彼女と同じように一人でいることに苦痛を感じていなかった。( もし親しい関係になればもっと楽しい生活が送れるんだろうなぁという羨ましさは時々あった。)


不安や怖さで勇気を出して自分がしたいことに足を踏み入れ、その世界に入り込むことがなかなか出来ずにいたことも。


そんな図書室で過ごしていた彼女が外の世界、そしてスクールアイドルの世界へ飛び込んでいき、苦手であろう運動に対しても、ほぼ毎日練習したと思われる走り込みやトレーニング、ダンスの振りを覚える...他にももっとやっていたのかもしれない。でも、それらのことを、もう嫌でやりたくないと投げ出すことなく取り組んでいる。


そんな姿を見て、彼女のことを応援しようと思った。自分も頑張らなくちゃと思うようになった。






さらに物語が進んでいくにつれて、彼女のことについてもっと知るようになっていった。


あるときでは東海地区予選で「MIRACLE WAVE」を披露した。


私が応援してきた彼女はあの舞台で踊りきった。運動が苦手だった彼女があんなハードな振り付けを遅れることなく。辛くてもめげずに頑張ってきたんだなぁと。


函館のときや閉校祭のときも困っている友達を手助けして一緒に手伝っていたこと。


そして、以外にも食べることが好きでいつも何かしら食べているところもたくさん見られた。






そんな彼女のことをずっと応援してきた。でも、しだいに、逆に彼女から励まされているように感じた。いつしか、立場が入れ替わってしまっていた。


こうして、今思えば、彼女からたくさんの機会をもらっていた。



今まであまり読まなかった本を少しずつ読み始めたこと。


彼女が好きな近現代の小説はまだ手につけられていないけれど、最近は辻村 深月さんの小説を読んでいます。小説に限らずビジネス書や自己啓発の本も読むようになっていった。



彼女のようになにかやってみたいことへ、その世界に足を踏み入れ始めたこと。


その中でいえば、やはりブログを始めたことだろう。これについては彼女だけでなく、他の人たちによる影響もある。でも、彼女に出会わなければその人たちを知ることはなかったし、そもそもブログなんか始めることはなかったと思う。



そしてなによりも、自分自身と向き合うきっかけになったこと。


途中で飽きたり諦めたりして投げ出すことなくひたすらに頑張り続けましたか?


あの時こうすればよかったと、後悔しないための選択や行動をとれていますか?


彼女のように困っている人がいたら自分のことを後回しにしてまでも助けてあげられますか? 知らない人でも同じようにしてあげられますか?


いろいろと自分自身について見つめ直すことが増えていった。



彼女のことについて書いているのに、私のことを書いてばかりいて話が脱線してしまって申し訳ない。そのくらい彼女から受け取ったものが多かった。







ある日のこと。4thシングルのセンターポジション総選挙が行われることが発表された。


そのとき、初めて聴いた時の彼女の自己紹介を思い出した。


「 マルはこれまでいつも教室の隅っこで一人本を読んでるような子だったから隅っこは慣れてるんだ 」


彼女がまだそのように思っているのか、それともあの頃とは変わって違う想いを持っているのか、どちらにしろ彼女がセンターで歌って踊る姿を見たいと思った。


今まで彼女から受け取ったものを今度は返してあげる番だと。


応援メッセージを添えて投票する。そのくらいのことしか出来なかった。


それでも、その期間中で私と同じもしくは似たような想いを持っている人たちがたくさんいることを知った。自己紹介で言っていたことを覆しているかのようにこんなにも多くの人たちから応援されている存在になっているんだと。


そして、彼女はセンターを勝ち取った。ステージの真ん中に立つ日が本当に来ることを。その景色はどんな風に見えるんだろう。今はちょっと想像がつかないけれどその日が来るのを楽しみにしています。ほんの少しはお返しできたのかなと思う。






今日は彼女の誕生日らしい。


たぶん今頃、プレゼントを渡されたり、たくさんの料理やデザートなんかを用意されたりしてみんなからお祝いされているんじゃないかな?


彼女が生まれ育った沼津にもたくさんの人たちがお祝いにやって来ていることだろう。


私も今いる場所ではあるけれどひそかにお祝いしています。これからも陰ながらずっと応援していきたいと思う。


彼女にとって笑顔の絶えない素敵な一日となりますように。
















花丸ちゃんお誕生日おめでとう。