光り輝く向こう側

"何か"に惹かれて、憧れて。その光の向こうへ。

あの光景から...

その日の朝、少し眠気が覚めならぬ中、なんとか起きて始発の次の電車に乗った。

#終わらない夢見ようの記事を読みながら、もうずく行われるライブを待ち遠しく思い、それと同時に一年前の頃を思い出していた。






一年前のこの日も、始発の次の電車に乗って目的の場所へと向かっていた。#もっと大きく夢を叫ぼうかの記事を読みながら。

その頃は、陰でひっそりと読んでいた、みなさんからしてみれば、顔も名前も知らないただの見知らぬ人であった。たぶん今も知らないという人もいるだろう。

なんとか目的の場所に到着した。そこは初めて訪れた場所だった。改札を出て左の方へ目を向けると会場が見える。朝早いにも関わらず、多くの人がこの場所へと集まっていた。

物販会場をはじめ、その周りには、フラスタと呼ばれるものが数多く並びそれぞれが個性的に飾られていたり、名前を聞いたことのある人や場所からも届いていたりした。前列にいた人たちが写真を撮っていたので、真似してフラスタを撮っていた。



この日は初めてのことばかり。

ラブライブ! のライブを見るのが初めてだった。LVすら見たことも無いのに。BDでライブ映像は見たことはあったが、初めてのライブを現地で見ることになった。

このコンテンツにはまりだしたのは、μ'sのファイナルライブの1ヶ月後のことで、当時は出会うのが遅すぎたとずっと思っていたが、ある時、ラブライブ! サンシャイン!! のアニメがもうすぐ放送されることを知り、その彼女たちの物語を見ることにした。

そんな彼女たちの姿を見ていくうちに、応援したい気持ちと自分の不甲斐なさが募っていった。

1stと2ndライブが行われたが、学生という立場と大学受験の期間で断念することにした。大学生になったらこのライブを見にいこうと。






初めて訪れた場所の空はどんよりと灰色の雲で覆われていた。雲の動きは速く、今すぐにでも雨が降りそうだった。

そんな風景を見て、小説の比喩表現でよくある、まるで今の気分を表しているかのようだと思った。



受験に失敗し、希望していた大学どころか他の大学でも落ち、今は滑り止めで受けた大学に通っている。家庭の事情から浪人は出来ない状況だった。

通い始めた当初は、あの時もっと頑張ればよかったという後悔と、自分はこれ程のことしか出来ない人間なんだという思いが入り交じっていた。



そんな状態のまま、この日を迎えていた。そして、いつしか雨が降り始め、時より激しく降っては弱まって止んだりを繰り返している。

この天気に対して晴れてほしいなと思いつつ刻々と時間が過ぎていった。それはある意味、自分の複雑な心境に対しても晴れてほしかったのかもしれない...






会場に入り、席に着いた。まばらではあるがペンライトの光がところどころで照らされている。会場の照明が暗くなると、その光景は一気に光の海へと変わった。その景色は、以前見ていた画面越しのものよりも鮮やかに色づいて見えるようにも思えた。



このライブは思っていたものよりも想像以上、というより思ってもいなかったことばかりのものを見せつけられた。

特に、今でも印象に残っているのは 「MIRACLE WAVE」 での8人によるドルフィンと伊波さんのロンダートからのバク転。

あのパフォーマンスを見て、すごいなという気持ちとあれほど練習に明け暮れて何かやってきたことが自分にはあったのだろうか?という思いを抱いた。



それともう一つ、「New winding road

ソロ曲は今まで聴かずに取っておいていた。初めて聴く時は、現地で本人が生で歌っているのを見聴きしたかったからだ。

その曲の歌詞、

前を向いて 新しい場所へ歩いて
道はずっと真っ直ぐ 違うねたぶん
New winding road


これを聴いた時、鈴木さんが一度、横浜アリーナに立つという夢があと一歩のところで叶わなかったことを思い出した。

それでも、鈴木さんは諦めずに努力をし、ついにその舞台に立つことになった。一度、夢を叶えられなくて、別の道へ進むことになっても懸命に頑張ればその夢が叶うことがあるということを改めて気づかせてくれた。

そのことを経験した上で歌うこの曲は、とてつもないほどの強いメッセージをあの会場内に響かせているように思えた。



歩いているどころか、後ろばかり気にして前すら見ていないんだなと。

それでも、前を向いて今いるこの道を進んで足掻けば、いや、そこから足掻くしかないんだと。その道が自分が望んでいたものでは無かったとしても。時には別の道に進んだっていいことを。

この曲を聴き終えた頃、外はまだ雨が降っていた。しかし、それとは対照的に先ほどまで抱いていた入り交じった複雑な心境が少し晴れたような気がした。




歩き出したら もう一度夢見よう
まぶしい光 探しに行こう
New winding road





あの光景から一年が過ぎ、そんな節目にまた、あの場所へと訪れた。

1日目、到着した現地は曇り空だった。この日は雨予報だったが、開演の時刻が近づくにつれて晴れ間が覗き青空と強い日差しが射し込んでくる。

会場に入り、席に着くと、まばらにペンライトの光が灯っている。そして、一斉に灯り出す光の海は一年前にここで見た景色を思い出す。

光の海が会場全体を照らすなか、吹き抜けた空間には夕焼けの橙色が照らしている。この光景はあの日には見れなかったもので、こんなにも違って見えるのかと感じた。



スクリーンには砂浜に落ちた紙飛行機。劇伴が流れ始め、Aqoursの文字が浮かび上がる。

手に取られたそれが大空へと飛び立つと、ゆったりとした入りにちょっぴりと切なさを感じる音が響き渡り、ライブではお馴染みのキャラ紹介の映像が流れる。

いつも、明るめでこれから始まる期待感を高ぶらせるものとは真逆の曲調で、聴いたとき鳥肌がたった。

このライブはいつもより何か違うとそう感じた。



今回の公演は、いろんな感情がたびたび入れ替わったものになった。

コールで盛り上がったり、時には鑑賞に浸ったり、幕間ドラマで笑ったり、映像や彼女たちの姿や言葉に泣きそうになったりととても楽しい時間だった。

アンコールでは、まばらだった光の海が徐々に虹の姿へと移ろいていく。その虹は架かり続け、終演とともに消え行くそれら一連の光景とその中の一部に自分が居たことが今でも忘れられない。



公演が終わり、また明日があるけれど、この場所とは別れを告げた。現地は今日だけだったから。

ライブが始まる前、2日目は見れなくてもいいかなと思っていたが、あの光景を見せられた以上、明日見ないと後悔するなと思い、まだ売れ残っていた近くの劇場へ足を運んで席を確保した。

この時、想像もしていなかった。

もしこの2日目の公演を見なかったら、今自分が思う感情やこれから過ごすことに対して気持ちの面が違っていたことに。






再び劇場に足を運ぶと、空いていた席がいつの間にか全部埋まっていて完売していた。

自分と同じようにこの光景を見たいと思う人がたくさん集まっていた。

公演が始まり、1日目と同じように楽しんでいたが、Jump up HIGH!! を披露し終えた後のキャストさんたちは、とても楽しそうに笑っていて輝いて見えた。

その姿を見て、


自分はあのように輝いていることはあったか?


辛くても逃げずに頑張って何か成し遂げたことはあったか?


人見知りで消極的で受け身がちになって、嫌な思いをしたくないだけで一歩を踏み出せずにただ眺めているその性格を変えたいと思ったんじゃないのか?


このままの状態で、これからの将来を過ごしていくつもりなのか?


そんな姿と自分の思いから、気づいたら涙が頬をつたっていた。

幕間のカウントアップで、最後に10!のコールが言えなかった。

最後のNext SPARINGも歌えなかった。こんな自分があんなに輝いているキャストたちと歌える立場で無いと思った。



伊波さんのソロパート

いまだって 未熟だけど
先へ進まなくちゃ
それしかないんだよね
未来へ!!
Next SPARING!!


これを聴いていたときに、ふと高槻さんの言葉を思い出した。

夢は声に出していかないとね。みんなもだからさ、自分の夢とかいっぱい声に出して私たちにぶつけてきてほしいです!


ここで声に出して歌わなきゃいけない。前へと進めないし変われない!と強く思った。

ここから歌う歌詞は、これからどんなに壁にぶち当たってもそんな自分を鼓舞するのと同時に目指し続けるものだ。



今、将来について二つの道を考えている。どちらも興味のある分野の仕事で、その仕事に就くためにその分野の知識が学べる大学へと進学した。

どちらの道へ進むかまだ決まっていないが、どの道へ進んでいったとしても、やってきて良かったと思えるように。悔いの無いよう過ごしていきたいと。






ライブが終わり帰る頃、外は雨が降っていた。それでも、あの日抱いていたあのような感情にはならなかった。

止まない雨はないと。そう彼女たちは歌っていた。雨上がり晴れた青空に架かる虹を越えたように。自分もその夢に向かって前へと踏み出し始めたい。






忘れない 忘れない 夢があれば
君も僕らもなれるんだ
なりたい自分に
忘れない 忘れない 夢見ること
明日は今日より夢に 近いはずだよ

止まらない 止まらない 熱い鼓動が
君と僕らはこれからも
つながってるんだよ
止まらない 止まらない 熱くなって
あたらしい輝きへと 手を伸ばそう
Next SPARING!!











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